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瞬く間に人気商品となり、当時の昭和の名優たちを虜にしていきました。
1959年開店したカチューシャには当時、付近の大使館の方々や、著名な方が多くご来店。本物のロシア料理を楽しみに、日々賑わっていました。 1965年にタチヤーナの夫の仕事の関係でヨーロッパへ行くこととなり、惜しまれながら閉店。その「カチューシャ」の味は、イクラバルにしっかりと引き継がれています。 多くの著名人が通っていた「カチューシャ」の味をぜひイクラバルでご堪能ください!
タチヤーナは、4姉妹で育ち、幼い頃から母親に料理の手ほどきを受け、近所で評判の料理上手な4姉妹として育ちました。終戦後、満州から引き上げてきた日本人と国際結婚したロシアンマダムやロシアンコミュニティの間でも、タチヤーナの料理上手は評判に。
娘のナターシャの生い立ちそのものが、イクラバルの原点です。
「よそのお宅のお呼ばれに伺っても、ウチの味が一番美味しい!と子どもながらに感じていました。モスクワに住んでいたティーンエイジャーの頃に、レストランや普通のロシア人の家庭などに行き、ロシア料理を食べる機会が多くありましたが、ママが作ってくれたウチの味とは全然違う料理なの?と感じたほど。この年齢になって振り返れば、ママの作る調理は、絶妙な塩加減と旨味や甘み、生地の上手しさなどが一つずつ際立っていました。」
さらに
「料理の飾り付けやテーブルセッティングなど、あらゆることが美しく洗練されており、それは、私の祖母から代々受け継がれてきたもので、全てが良いバランスで、どこのレストランや家庭よりも美味しく感じたものでした。 その記憶や経験のすべてが、私のお料理の原点だと思います。」
母タチヤーナと娘ナターシャとの思い出をナターシャが振り返ります。
「40代で父が天国へ行き、70代後半のママと一緒に住むことになり、また親子で一緒にキッチンに立つ時間も増えました。
そんなママも高齢になると、料理はしなくなりましたが、キッチンで私が料理をしていると必ずやって来ては、一言二言文句を言って立ち去る“味見おばあさん” に・・・
鋭い味覚は昔のままなので、皮肉を言われながらも私にとっては、彼女が亡くなる 104歳まで唯一のロシア料理の大先生でした。
主人の仕事の関係で、大使館員や領事館員、日本に出張で来ているロシア人などを我が家に招き、毎週末のようにホームパーティをしておりました。みな、懐かしい故郷の味を堪能されていました。
大使婦人を始め、ロシア人奥さまたちが、作り方を熱心にメモされていったほど、気に入った様子で嬉しかった記憶があります。
また、主人のオフィスに毎年、お正月におせち料理をはじめ、ロシア料理や各国得意料理を大量に持って行くのが恒例行事の一つでした。
お客様が、とにかく次から次へと料理目的に押し寄せ、あっという間に用意した料理がなくなっていきました。
それが仕事につながったかはさておき、本当に賑やかなお正月を毎年送っていました。
みんなが喜んで召し上がる姿が嬉しくて、自信にも繋がりました。」
母タチヤーナに、料理のことでは一度も褒められたことのなかったナターシャ。ほぼ寝たきりになってしまっていた母タチヤーナに、いつものように食事をさせていると、「あなたの作る料理はほんとうに美味しい!」と料理を褒めてくれました。母にはじめて認められた。目には涙が浮かびました。そしてその数日後、タチヤーナは天国へと導かれました。
イクラバルでは、ナターシャから直に、ロシア料理他、多くの料理を学べる機会を作っています。「ママ友が我が家に遊びにいらした際に、ロシア料理をお出ししたら、食べたことがない方が多く、皆さん『美味しい!』と感動されて、ぜひ、教わりたいと。また、そのお子さまたちがご結婚されたので、娘たちにも料理を教えてほしいとお願いされたのがきっかけで、ロシア料理を教えることになりました。
私自身、30代でパン教室から始まり、40代で中華料理、日本料理、イタリア料理などのお教室に自分で興味を持って通うようになり、本格的に各国のお料理を習い始めました。ヨーロッパで育った10代のとき、日本では、生のお魚も食しますが、ヨーロッパの魚料-理は、ほとんどが火を通すなど、国によって同じ食材でも、作り方や味付け、食べ方などが違うことを不思議に感じていました。
毎日料理をするようになった頃には、その違いに面白さを感じ、料理に対して更に、追究するようになっていきました。
自分がロシア料理を教える立場になったときに、これまでのお料理教室に通った経験がとても役に立ったと思います。
以前からの生徒さんを始め、イクラバルのお客さまからも、お教室のご要望が多く、現在は、イクラバルでお料理を教室を開催しています。
日本のみなさまに、ロシア料理を知っていただく、良い機会だと思います。」